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 こうしてあっという間に、一週間と幾ばくかの日々が流れた。すごろくのお互いのコマは止まっているマスは違えど、後一回サイコロを振ればあがれる可能性があるという所にまで至っていた。  この日は休日で、二人とも仕事がなかったのだが、真弓は主婦会のディナーがあると言って、仕事の時よりも一段と厚塗りの化粧をして綺麗に身なりを整えていた。 「それじゃ行ってくるわね。優斗のことよろしくね」 「ああ、たまにはこっちのことは忘れて、羽を伸ばしてくるといい。なあ優斗」  優斗は俯き加減のままこくりと一つ頷いた。優斗が友達と喧嘩して以来元気がないことは、洋平も真弓も気づいていた。真弓は洋平を手招いて、耳元でそっと囁いた。 「優斗のこと、ちゃんと見ててね。それと、今日のすごろくも楽しみにしてるわ」 「今日くらいあれはやらなくてもいいんじゃないか?」 「ダメよ、もう少しで私があがるんだから」  行ってきます、と元気よく大輪の笑顔を作って家を後にする真弓を、笑顔の洋平と険しい表情の優斗が見送った。  二人になると早速、洋平は今の優斗が何を欲しているのかを探るように言った。   「よし優斗、今日はお父さんと二人だ。何かしたいこととか、行きたい所はあるか?」  優斗が面倒臭そうに口を開いた。 「別に……」 「別に、か……」 それなら、と洋平は続けた。 「晩ご飯は何食べたい? ファミレスとか出前とか、何でも食べたいものを言ってみなさい」 「何でもいいよ……」 「それじゃ、お父さんと一緒に何か作ろうか」 「え?」  優斗が驚きの表情を浮かべた。 「お父さん、料理できるの?」 「できるさ」  洋平がこの機会を逃すべく、畳みかけるように続けた。 「お父さんな、お仕事で料理を作っていたこともあるから、こう見えても凄く上手いんだぞ。ハンバーグなんてそこら辺のファミレスになんか負けないんだ。ほら、何が食べたいか言ってみなさい」 「カレーライス!」 「カレーか、お父さんに任せなさい。そうと決まれば一緒に買い物に行くぞ」
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