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 優斗を助手席から下ろして、二人を一瞥した洋平は、車のエンジンをかけて静かにアクセルを踏んだ。バックミラーに自分の顔を見た洋平は、何処か満足げに微笑んでいた。  二時間程車を走らせた都会と田舎の中間という場所に、洋平は部屋を借りていた。六畳一間、小さなキッチンに風呂とトイレがあれば、今の洋平には十分だった。  ろくに荷解きもせず、洋平は長いシャワーを浴びた。熱いシャワーにうたれながら、何度も、何度も、同じ言葉を排水溝に流した。 「ごめんな、優斗……。  お前が観た映像は、お母さんが男の人にいじめられているようにも見えたろう。  でも大丈夫、きちんと包丁の使い方を教えたろう。人は思いの外、簡単に殺せるんだ。  どっちでもいいさ、どっちでも。男の方でも、お母さんの方でも。優斗が思うようにすればいい。  そうだ、その通りだ、どっちも殺さないのでもいい。優斗とお母さんとあの男で、幸せな暮らしを過ごすのでもいい。  優斗が許せるのならそれでいい。  どうなっても俺には関係ない。もう俺には関係ない。  ごめんな、優斗……」 ◆◆◆ 完結 ◆◆◆
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