12人が本棚に入れています
本棚に追加
りりりりりとカラオケルームの個室に電話の音が鳴り響く。
「2時間延長で」
圭太は静かに受話器を取るとひとことそれだけ話し、すぐに電話を切った。
「大丈夫?昔何かあったの?」
圭太はものすごく優しい口調で私に聞いた。
「ちょっと色々あったんだよ」
「まだ、引き立ってんだ。そんな風になるなんて。」
なにも言い返せない。
だってそれが事実だから。私はまだ、あのことを引きづっている。
「篠山さんって、岡森中学でしょ?」
突然坂下くんが言った。
「え?私、話したことなくない?」
「俺も一緒だったもん。」
私は。中学の頃、この人を、見た記憶がない。
「関わったことないよね?」
「あるよ。篠山さん中学の時はもっと大人しい感じの人だった。」
坂下くんはそう言うけれど。私は本当に覚えていない。
「思い出したくない思い出として封印されてるのかな」
「大地なにがあったのか話せよ」
「篠山さん、話していい?」
これは本当に弱みを握られるようでいやだ。
でも。ここで話さないのはなんだかしらける。
「私が話す。なにがあったのか。でも、坂下くんとどう関わったのかはわからない。」
「それは、俺が話す。」
こうして、私は自分の過去を話す覚悟を決めたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!