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俺は噂の篠山皐月に興味があった。
あれから嫌がらせを受けているのに黙っている彼女。だけど今にも泣きそうな表情を浮かべている。
俺も。1人でいることが多いから余計に、自分の仲間にしたかったのかもしれない。
その日はとても天気が良かったから、俺は1人で屋上でお弁当を食べていた。
その時、1人の少女がお弁当を持って屋上に来た。
篠山さんだった。
ふわりと吹く風が俺のパンのゴミを悪戯にも彼女の元へ飛ばした。
「あ、ごめんね」
「あ、この前の。」
「あ、覚えててくれたんだ。大丈夫?最近。ますます酷くなってない?」
「大丈夫だよ。」
涙まじりの声。
「泣いてもいいよ。俺しかいないし。」
俺は気づいたら彼女の背中をポンポンと叩いていた。
彼女は嗚咽も漏らさずに静かに一筋の涙を流した。
今すぐに抱きしめてあげたかった。
この人を守ってあげたかった。
「ありがとう。この前も今日も。でも、私は大丈夫」
そう言いながら彼女は泣き出した。
咄嗟に彼女を抱きしめてしまった。
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