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「しーのやまさん」
私は下校中、最寄駅で呼ばれた。
その声を聞いた瞬間私は背筋が凍り、
息が詰まった。
無視して去ろうと試みたが、その声の主は私の前に回り込むと、私の肩をがしりと掴んだ。
うちの最寄駅はいわゆる無人駅。
だから、助けてくれる人はいないのだ。
「俺のことわかるよね?篠山さん。」
ニヤリと笑う。
あの時と同じように
「横山くん。なんで…?」
「俺、会いたかったんだ。篠山さんに」
「私は、会いたくなった。」
「また、前みたいに困った顔してよ。あの顔を拝みにきたんだから。」
私は掴まれていた肩をぐるりと回した。
「触らないで。もう今更私に構わないでよ!」
「嫌だね。俺はこれからもお前を苦しめるよ。」
心臓がドキドキする。
これは恋の好きではない。
恐怖から来る動悸だ。
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