はじまりは突然に

1/3
前へ
/87ページ
次へ

はじまりは突然に

遡ること2日前。 私はいつものように休み時間に大好きな少女漫画を読んでいた。 「皐月ちゃんも『王子様と一緒』読んでたんだ!私も読んでる!」 少女漫画仲間の佐藤 しおりは嬉しそうに私のそばにやってきた。 「しおりも読んでる?え、どっち派??」 この漫画には2人の王子が登場する。 チャラいドS王子と真面目で優しい絵に描いたような王子。 この漫画の読者はチャラ王派とマジ王派に分かれているのだ。 「私はチャラ王派だよ。皐月ちゃんはやっぱり…?」 「もちろんマジ王派。」 「だよねー。私は絶対ドSキャラがいいんだよねー。冷たい中の優しさっていうの?あれが最高に好き。」 「しおりはそうだよね。私は真面目キャラが好きだからな。」 そう。この少女漫画の話題で盛り上がっていた頃だ。 「へぇー皐月ちゃんって真面目キャラが好きなんだー。じゃあ俺みたいなタイプ嫌いっしょ。」 この時、初めて圭太に絡まれた。 「うん。私、あなたみたいな人嫌い。」 こういうのは変に反応するより、ノリで返す方が一番いいと思ったのだが、誤算だった。 「よし。きーめた。次は皐月ちゃん君を落とすよ。みんなすぐ俺のこと好きになるからさ、俺のこと嫌いな皐月ちゃん攻略するとか絶対楽しいわ。」 そういうと、圭太は髪をかき上げた。 そうして、彼の付き纏いが始まったのだ。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加