球技大会

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見事試合に勝利した私は、汗を拭きながらしおりの元へ戻った。 「圭太くんのチーム勝ったよ!」 凄い勢いで私に飛びついてくるしおり。 「私も勝ったよ!」 「お疲れ様!」 「うちのクラス優勝じゃない?」 「さーつきちゃん。見てた?俺のダンクシュート」 きた、圭太。 私は声のする方をギロリと睨む。 「怖い顔しないでよ、話しかけただけじゃん。」 「見てないよ、私も試合だったし、もちろん勝ったけどな。」 「俺、ダンクシュート皐月ちゃんに見て欲しくて頑張ったのに。」 「私、見てたよ!すっごくカッコよかった!」 「ありがとー。しおりちゃん。」 圭太はしおりにはあっさりしたもんだ。 「ねぇ、皐月ちゃん打ち上げでカラオケでも行かない?」 「あんたとは行かない。しおりと2人で行くもん」 「球技大会の打ち上げだし、人数いた方が楽しいよ!圭太くんも呼ぼうよ!」 しおりの目がお願い、呼んで訴えている。 「しおりが言うならいいけど…」 「やった!皐月ちゃんと遊べる!」 子どもの様にはしゃぐ圭太の隣で静かに笑みを浮かべるしおり。 しおりは圭太が好きなんだろう。 わかりやすい子だ。 本人にすぐにバレてしまうよ。 私はそう思いながら黙ってしおりを見守っていた。 「じゃ、後でね!」 圭太は男子たちのところにかけていく。 その姿を目で見送るしおり。 そして突然私の方に視線を戻した。 「皐月ちゃん!聞いてほしいことがあるの!」 既に大体の予想はついている。
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