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3.『赤』『魔法』『静寂』(0425)
深い夜の静寂の中にいると、君の言葉を思い出す。
「国境っていうのはわからないんだ。地球儀みたいにそこに赤い線がひいてあるわけじゃないしね。なのに人間は地球に線を引きたがる。見えない線のあちらとこちらで違う思想と同じ欲のために、ただ静かに生きていたいだけの人々を傷つける。
神がいるとしたら、僕らが知っているものではないだろう。彼らが信じているものでもない。信仰は人間によって伝えられていくものだから。伝言ゲームだってたったの数人で間違えるだろ。何百年も正確に伝わっていないんだろう。どこかで捉え方の違いや考え方の違い、そして醜い欲で変わってしまう。
魔法が使えたらいいね、世界は平和になるのかもしれない。何処かにこっそり隠れている魔法使いに、誰かが伝えないとわからないのかもしれないよ」
その役目をなぜ君が背負うのかはわからないけれど、残された者は待つという形で祈るしかないんだね。
夜の静寂の中で
ただ星を見上げて。
〈fin〉
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