他愛もない奇跡

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「でもそれだったら」と私は言った。 「魔法で、お金を好きなだけ出せば、この世からお金がなくならなくてもいいんじゃない?」 「そうなんだけど」と彼女は少し()ねたような眼をして言った。 「お金で買えないものだってあるじゃない?」 「たとえば?」 「たとえば、そう……君とか」 「え? 僕は、君の魔法で君の前に現れたのか?」  私が笑うと、彼女も笑った。 「私の魔法じゃないけれど」と。 「想像もしなかった人が現れたから、魔法。  それは、奇跡、とでも言うのかな」  
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