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「お腹も膨れたことだし、池を覗きませんか?」
高城様が言ったので、手早く片付けをし、池の縁に寄った。
「透き通ってるねー。これならいっぱいお魚いるんじゃない?」
「んー、そうとは言えない場合もあるのですよ。透き通っていると言うことはつまり、動物プランクトンが少なく、それを餌とする魚も少なく、生物がいっぱい住んでるわけではないんですよ。」
「へー、でも、こんなに綺麗だと養殖にむきそうだなって思ったんだけど違うんだ。」
「ええ、北海道の摩周湖は一昔前までは世界で最も透明度が高い湖の一つだったのですが、そこに目をつけた養殖業者がそこに魚を放流し、餌の少なさゆえに死んで、池を濁らせたそうですよ。
人為的に自然を改変することはあまり良くないことですよね。
そのことは置いといて、とりあえず、覗きませんか?と言っても覗く勇気がなくて、誰か先に覗いていただけませんか?」
「では、私が覗きましょう。実は死んだ時の記憶が曖昧で…」
池をじっと覗くとどんどん水面が変化していき、映像が映った。
私が保健室のベットで寝ている映像だ。
長閑な春の日らしい。
ん?映像が止まったのだろうか?全く動かない。
保健室で死んだと言うこと?
あれええ?
「…ゆっきーの死に方は不思議だね。」
「これはもしや…。」
「みんなお静かにならないでください。秘密や謎の多い女は魅力的と言いますし。」
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