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「パリパリ、んーもろみ美味しいね!濃厚な旨味が口の中に広がるのがたまらない…」
文ちゃんがもろみ味噌を塗ったきゅうりを幸せそうにほうばっている。
「きゅうりをいっぱい食べていると祖母によく言われたものです、赤痢になるから食べすぎないようにねって。」
高城様、綺麗な所作できゅうりを食べながら怖いことを言わないでよ!
絵になるんだよね、
今時珍しい着物を着られているし、落ち着いた緑系統で纏められてるから、
森の中も相まってさながら森の仙人のよう。
「せきり?どんな病気ですか?」
「食事中にいうのもあれですが、おおよそ下痢のような感染症ですね。
今であれば簡単に治せますが、祖母がなったのが戦時中で、
赤痢になろうものならすぐに感染症の山奥の病院に詰め込まれて帰らぬ人にとなってしまうらしいですね。
曽祖母のお陰で病院に行かずに済んだようですが、それ以来きゅうりを食べるのを躊躇ったそうですよ。
戦時中でなんでも食べないといけない時代だったからすぐに治ったみたいですが。」
あれだね、ハンセン病を思い出すね。
「でも、祖母の作るもろみが美味しくて、これで食べるなという方が酷なものです。5本一気に食べたこともありましたね。」
「なるほど、曽祖母様はすごいですね。当時でしたら、お薬は貴重でしょうし、何か異常があればすぐ発見され村八分に会うかもしれないのに、親子愛はすごいですね。」
「ばっけ味噌って苦いんだね。私苦手かも。」
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