ひだまり宿屋

なごり雪

「ふきのとうは灰汁が強いですから、細かく刻んで味噌と一緒に火を通しても苦味が残ってしまうそうです。東北の方の保存食だそうです。苦味がたまらないという方もいらっしゃるそうですよ。大人な味ということだそうです。」

すると、文ちゃんは頬を膨らませた。

「ゆっきー、それってつまり私がおこちゃまだと言いたいの？！」

「いえいえ、好みは人それぞれです。」

「っちぇ、仕事モードのゆっきーとはやりづらいよ。」

「まあまあ、口直しに土筆の天ぷらでもいかがですか？」

「すごいですね、これほど良い山菜が食べれるなんて思いませんでした。」

「天ぷらは灰汁の少ない山菜をつかってるので、おいしいと思いますよ。」

ここは山菜が多いらしい。
天狗のやっさんがきたときに中居として働くなら覚えておいて損はないとのことで教えてくれた。
うちとしては、イタドリを生で食べるのが好きだ。
青りんごのような爽やかさがあるからだ。
ただ、シュウ酸が多いから灰汁抜きしないでいっぱい食べるとお腹を壊すってやっさんに言われた。
このイタドリ、日本では絶滅危惧種だけど、世界では繁殖力のせいで害があるらしい。
食べ方を知れば美味しいのにね。