ハロウィン・パーティー

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 兄貴たちの目が、一斉に俺に集まる。3人とも「なにごと?」と言わんばかりの目をしている。どうしてそんな目をするんだ。さりげなく切り出したのに。 「トクニイミハナインデスケドネ。チョットゴテイアンガ」 「壮ちゃん……なんで日本語を覚えたばかりの外国人みたいなしゃべり方をしてるの?」 「それに、どうして両手を上下させてるんだ? こわれたPepperみたいだよ? ソフトバンクに連絡する?」  もしや、俺はさりげなくないのか? でも、いまさら後には引けない。一旦お茶をすすった俺は、卓袱台の下に置いていた小箱を手に取った──と思ったら、落とした。畳の上を転がる小箱を、俺は慌てて拾い上げる。  兄貴と琴子さんの「こいつ、なにやってるんだ?」という視線を全身に感じながら、俺は雫に箱を掲げて蓋を開けた。真紅のイヤリングが露になる。  次の瞬間、雫が息を呑んだ。氷塊の瞳はきらきら輝き出す。  俺はと言えば、雫しか見えなくなっていた。兄貴も琴子さんも意識から消える。気持ちも不思議なほど凪いだ。  いま俺の世界にいるのは、雫ただ一人。 「雫さんが、さっきこのイヤリングを見ていたから──」 「うれしいです」  雫が言う。 「壮馬さんもこのイヤリングが似合うと思ったんですね!」
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