ハロウィン・パーティー

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 なにやってるんだろう、俺。たかだか好きな子にイヤリングを渡そうとしただけなのに。  ぼんやりしていると、襖の向こうから「壮馬さん」と声がした。雫だ。 「入ってもよろしいでしょうか」    すっかり重たくなった身体を起こしてから「どうぞ」と応じると、雫が入ってきた。やけに真剣な面持ちだ。つられて身構えてしまう。  雫は、俺の前で正座するなり切り出した。 「イヤリング」  そう言ったきり、氷塊の瞳で俺を見つめたまま黙ってしまう。妙な沈黙が落ちる。 「ええと……イヤリングがどうしたんですか」 「よく考えたら、そのイヤリングは壮馬さんにそれほど似合わないと思うんです。よろしければ、わたしに譲ってもらえませんか。もちろん、お金はお支払いします」  言葉の意味がわからなかった。雫は先ほどから変わらず、氷塊の瞳で俺をじっと見つめている。顔つきも、いつもどおりの氷の無表情だ。  でも白い頰は、ほのかに朱に染まっている。  それを見つめているうちに、言葉の意味を少しずつ理解していった。  重くなっていた身体が噓のように軽くなり、口許には自然と笑みが浮かぶ。  雫が、不安そうに繰り返す。 「お金はお支払いします」 「そんなのいりませんよ。その代わりつけさせてくれませんか、イヤリング」
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