ちっちゃい巫女は壮馬がお好き?

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「巫女さんに冷たくされてるのに喜ぶなんて。このままだと、壮馬さんは誤った道に進んでしまう。だから助けてあげたいの。私の巫女舞を見て女の子の本当のかわいさがわかれば、女性観が正しくなるはず……べ……別に壮馬さんがどうなってもいいんだけど、その……そうだ、友だちよ。友だちが心配しているの!」  誰もなにも言っていないのに言い訳して、顔を背ける風花ちゃん。いまどき珍しい真性のツンデレだな、この子。雫も、これくらいわかりやすければいいのに。  それはともかく、状況はわかった。 「とりあえず俺が見ていれば、風花ちゃんは巫女舞の稽古をするのかな。だったら──」 「お話は、それでおしまいですか」  俺を遮り、雫はにっこり笑顔で言った。いまのいままで氷の無表情だったのに。  うん? そもそもどうして雫は、部外者の風花ちゃんの前でも素顔を見せていたんだ?  豹変した雫に、風花ちゃんが身構える。 「なによ、その顔? なにを企んでるの?」 「要は、壮馬さんの気を引きたいのですよね」 「私の話を聞いてた? 別に壮馬さんがどうなったっていいの!」 「そうとしか見えないから、はっきり教えてあげます」  雫はそう言うなり、俺の右腕にしがみついた。 「風花ちゃんがなにをしても無駄ですよ。わたしは、この人と結婚しているのですから」
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