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あまおとあまこの人形劇
今回のエピソードは、ブックポート中野島店さんのこちらのツイートを見てから読むと、より楽しんでいただけると思います。
https://twitter.com/bookport203nkn/status/1416346774793375745
(以下、本編スタート)
昼休み。源神社の社務所にある応接間にて。
「じゃーん!」
兄貴がそう言いながら卓袱台に置いたのは、手に嵌めて使うパペット型の人形だった。黄色とピンク、2体あって、小型のドラゴンのような生き物。つぶらな瞳が愛らしい。2体とも頭に角のようなものが生えているが、黄色い方はアルファベットのA、ピンクの方はRに見えた。
「なんですか、この人形?」
雫がいるので敬語を使って訊ねると、兄貴は右手に黄色、左手にピンクの人形を嵌めて答えた。
どうでもいいけど、神職の装束と人形の組み合わせなんて不釣り合いなはずなのに、我が兄ながら神々しいほど麗しい。
「源神社に住んでいると伝えられている神獣だよ。黄色が『あまお』で、ピンクが『あまこ』」
「神獣なんていたんですね。でも、この人形がなんなんです?」
「手先が器用な氏子さんがつくってくれたんだ。こいつを使って毎年、近所の幼稚園児たちに人形劇をやってるんだよ。神社の成り立ちや歴史、神さまへのお祈りの仕方なんかを伝える劇をね。去年までは僕と琴子さんがやってたんだけど、今年は壮馬と雫ちゃんに任せたい」
「どうしてです? 今年はなにか用事でもあるんですか?」
「いいや、なんにも」
あまおとあまこの口を動かしながら、兄貴がにっこりと笑う。
……なるほど、そういうことか。
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