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指はわたしのスカートの中にまでゆっくりと入っていくのを感じた。
「もうやめよう。だめだよ。」
わたしの身体を伝う手を掴んで、
そう言い出したのはわたしの方だった。
だってそいつには彼女がいる。
だってわたしには好きな人がいる。
だってそいつを好きなんてことはない。
だって、だって…。
急に止まっていた時が動き出した。
我に帰る。
何をしていいのかわからなくなって、
何も言わずわたしは早足に
そこから立ち去った。
彼も、そいつも、わたし自身も、
世界の何もかもが揺らいで、
理解しがたいものみたいだ。
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