揺れ

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少し前のしばらくの間は 「気になっている」程度だった。 きっとわたしなんて彼の眼中にはないし、 誰に対しても同じ表情をしているのだろう と思っていたし、 下の名で呼ぶのだって、 誰にだってそうしていると思った。 「君と一緒にいると本当に楽しいよ。笑顔が可愛いし、どうでもいい話をしていても飽きないし、俺、好きなのかもしれないな。」   今から1ヶ月くらい前に2人で居酒屋へ行ったとき、彼は少し照れ臭そうに笑いながら、こんなこと言っていた。 「好き」。 想像もしていなかった。 恋愛慣れしているはずのないわたしは 混乱してしまったせいで 「何言ってるの?酔ってる?」 なんて笑って誤魔化してしまった。 付き合っちゃう?なんてノリで言えるほどの経験値があればなと悔やむばかりだ。
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