揺れ

4/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
彼の方から 「君は好きな人、いないの?」 と聞いてきた。 その前にどんな話をしていたのかは よく覚えていない。 たぶん周りの友人たちの恋愛ゴシップとかだったと思う。 その流れでなんとなく聞いてきただけだ。 けれど、 彼しか見ることのできなくなった盲目なわたしは、今しかないと思った。今伝えるしかないと思ってしまった。 「わたし、あなたが好きなの。付き合いたいくらいに。」  こんな急展開、 誰も想像していなかっただろう。 彼も、わたし自身も。 彼は少しの間黙り込んでいた。 それは戸惑ったと思う。 そしてこう言った。 「うーん、そっか、でも、俺、君のそばにいられないし、ちょっと、難しいと思う。」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!