第4章

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急にそんなことをされれば誰でもこうなるに違いない。キースやグアスならともかく俺には跪かれるだけの地位も理由もない。 わけがわからずオロオロしていると跪いた二人の男たちが口を開いた。 「「ご無沙汰しております。アネモネの君。お元気そうで何よりでっっっ!!……痛い……」」 「その呼び方をやめろと何度言えば理解するんだ?次こそ本当に頭と胴体を切り離すぞ」 「ちぇっ……呼び方なんてどうでもいいじゃないですか」 「そうそう。減るもんじゃないし」 「そうかそうか。そんなにその頭は胴体と繋がっていたくないか……」 「「申し訳ございませんでした」」 あまりに自然な流れで言葉が出てしまい首を傾げたが、跪いている二人を改めて認識すると、その首に手を回し纏めて抱きしめていた。 涙がこぼれて止まらなくて言葉をかけたいのに言葉が出てこなくて…… そんな俺を二人は黙って好きにさせてくれていた。 「悪い……取り乱した」 「取り乱すシーラー隊長なんてレアなもの見れたし別にいいよ」 確かに隊長の地位にいたからこそ下の者に弱いところは見せられなくて涙を流したこともほとんどなかった。今のこんな姿を見られたら絶対弄られるに決まってる。 それでもそのくらいは許してほしい。コイツらもビリィと同じく二度と会えないと思っていた奴らだから。 この二人はリヒトとドイル。それぞれ光と闇を司る神で双子神とも呼ばれている存在だ。リヒトは金髪に白眼、ドイルは黒髪にグレー眼の姿で、かつて俺と同じ国兵隊で第二隊の隊長と副隊長の友として側にいた。
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