44人が本棚に入れています
本棚に追加
アンリに言われて気付いた。
確かにそうだ……あの時、確かに誰も自分の魔武器について言葉にはしていなかった。なのに俺はそれを普通に話していた。
前の時代での周りが『レオナルドだから』で納得していたことがこの時代では通用しないことを忘れていた。
誤魔化そうにも誤魔化しきれないところまで来てしまっており、アンリの目にも『説明するまで逃がさない』という意思が見えた。
俺がどう言おうか悩んでいると突然アンリが慌てて出した。
「えっと、ごめんなさい!無理強いをしたい訳じゃなくて単純に気になったから聞いてみただけなの!こういうところは私の悪い癖って自覚してるのにいつもやらかしちゃって……言いたくないなら言わなくていいわ!」
その姿に少し肩の力が抜けた。きっと、本当に純粋に気になったと言うだけなのだろう。俺の事を問い詰めたいわけでも困らせたい訳でもない素直な気持ち……
いつも強気なアンリの少し意外なところを見れた気がして小さく笑いが零れる。
「笑わないで!ああもう!言えないなら無理に聞かないわ。本当にごめんなさい」
きっと……ここにいる皆なら大丈夫な気がした。話しても変わらずにいてくれる。
「……俺の目には『視える』んだよ」
「みえる?」
「そう。簡単なものだと魔力の質だとか練り方だとかそういうやつ。例えばこの魔法は失敗するなとかあの練り方からしたら威力はこのぐらいかなとかそんな感じ」
「そんなことあるです?」
「普通はないよ。現に俺の居たところでも視えたのは俺だけだったし……」
だからこそわかった。あの戦いの最中に皆の魔力がどんどんなくなっていき、魔法が使えなくなっていったのが……
実際にあの時の異変に最初に気付いたのも俺だった。いつもは失敗するはずのない魔法で隊員が失敗する。
皆ただの不調だと言っていたがそれだけで国1番と言われている国兵隊の隊員が失敗するはずないのだ。
原因究明のために調査隊を派遣しようとしていたがその時にはもう遅かった……
最初のコメントを投稿しよう!