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~流聖(りゅうせい)2011年~
(なんで!なんで!なんでこんなことになった!?)
多くの人々が死んでしまった。仲間、友だち、家族、そして同じ地に一緒に生きていた人々。
あの日まではみんな楽しく平和に暮らしていたのに……それなのに……!
悔やんでもこの状況が変わるわけではない。今も目の前の魔物は俺を殺そうと攻撃を仕掛けてくる。
そんな魔物に持っていた剣や、残り数発しか撃てない魔法で応戦していく。
それでも魔物たちの数は増え続け、それと反比例するように人間の数は減っていく……
(クソっ!魔力源さえ奪われなければ……!)
魔法を使うための大元である魔力源が魔物に奪われた今は自分の中に蓄積されていた魔力だけで戦うしかない。しかし、それもこの長い戦いで底を尽きようとしている。
その時、俺の隊の一人が魔物を掻い潜ってやってきた。
「隊長!元帥がお呼びです!至急、王城へ起こし下さいと……」
「元帥が!?しかし、俺がここを離れてしまったら……」
俺がここを離れてしまったらこの場所は数十分と持たないうちに壊滅するのに……どうして?
「隊長、元帥もそれは承知です。それでも隊長を元帥の元へ連れてこいとの命令です!自分は隊長の代わりにここを任されました。行ってください、隊長!元帥がお待ちです!!」
「でも……」
悩んでる暇なんてないことはわかっていた。それでもみすみす自分の部下たちを見殺しにするなんてそんな真似はできなかった。
「行ってください!隊長!」
「そうですよぉ!ここは俺らが何とかします!」
「元帥のお呼びなら仕方ないじゃないですか!」
「お前たち…………わかった。すぐ戻るからそれまで耐えてくれ!!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
隊員たちの声に背中を押されるように俺は王城へと急いだ。
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