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「んじゃまた後でな」
「着替えてから向かいますね」
「わかった」
魔法陣からは俺の部屋の方が近いため、扉の前でキースたちと別れる。扉を開け中に入ろうとしたが慌てて外に出てキースたちを呼び止める。
「あ、あの……話したいことがあるんだ。だからその……」
「着替えるだけだからすぐ向かうよ。どうせ女子たちはシャワーだ何だで時間かかると思うし……なっ?」
「そうですね。すぐ行きますね」
「……ありがとう」
その言葉通り二人は五分もしないうちに部屋にやってきた。制服からいつも王城で見ていたような服装ではなくもっとラフなシャツにパンツという格好に着替えていた。
「何気にレオの部屋に入るの初めてかもな」
「そうですね。なんというか……」
「「何も無い……」」
「そうか?」
俺の部屋にあるのは勉強机とイス、それからベッドとクローゼットあとは本などを収納してるボックスぐらいだった。
ちなみにボックス以外は元から部屋に備え付けられていたものでそう考えると私物が少ないかもしれない。
それでも生活には困らないし、そもそもこの時代に私物と呼べるものがほとんどない。洋服はキースやグアスのもう着なくなった服だし、本なんかも王城から借りてきたものしかない。キッチンはあるが料理もしないので調理器具なども備え付けのもの以外は置いてない。
そういえばよく周りの奴らから『お前の部屋は生活感がなさすぎる』と言われていたのを思い出した。
「俺は不自由ないんだけど……やっぱり変か?」
「変というか何というか……」
「『レオの部屋』って感じですね……」
「それだな。『レオの部屋』だ」
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