学園

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「ふぇ?今、何て?」 「お気になさらず。 ああ、惚けた顔も可愛いですが、誰かに見られるのは勿体無いですね。 しっかり掴まっていてください」 そう言って蓮見先輩はフワリと僕を抱えて歩きだした。 所詮、お姫様だっこというやつだ。 僕が揺れないよう、気を使っているのが解って、そんな風に優しくされたことのない僕は気をまぎらわすために先輩の首に抱きついて肩に顔をうずめた。 だから知らなかったんだ。 先輩が僕の軽さに怪訝な顔をしていたことも、 顔をうずめた時に先輩が耳まで真っ赤に染めていたことも。
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