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ドブ板通りの雇われもの。④
さて、この金髪碧眼で白磁のような肌の色と滑らかさを持つ美しい少女は、本名を【Dolores Schoenfield(ドロレス・シェーンフィールド)】といい、齢13歳の少女で、オーベラル風の愛称だと【Lolita(ロリータ)・Loli(ロリ)】なので同居人とドブ板通りの町の人にはロリと親しげに呼ばれていた。
彼女は、彼女を芙蓉まで連れてきた同居人と共にドブ板通りは牢人長屋と昔から通称される、間口が九尺、奥行二間の住居兼事務所の四畳半一間に二人で居住していた。
ちなみにロリは、女の子なのだからと同居人が気を利かせて知り合いの大工に設えてもらった、天井に床三畳分の釣り寝床状にして寝起きしていた。
そんな彼女と共に生活する同居人は探偵を生業としており、もとは芙蓉皇国海軍の若手士官であったそうで、その伝手でロリの故地であるオーベラルで出会い、そのまま向こうでの仕事にあぶれたロリを引き取り自分が居を構えているドブ板通りに一緒にやって来た。という建前の身の上であった。
問題は、同居人の若い男は頭は多少なりとも切れる質ではあるらしかったのだが、ただ残念なことに肝心の商才にはまるで恵まれてはおらず、御近所の面々や顔見知りの肉屋の夫婦にさえ彼を指して“あの甲斐性なし”などと、遠慮会釈なく呼ばわれる悲しい事実があったことだった。
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