隠されていたモノ

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ーーーー 『ラスカル』 誰かが、呼んでいる。 『ラスカル。起きろ』 いやだ。起こさないでくれ。このままずっと眠ってたい。 起きたとして、ぼくに何をしろって言うんだ。 なんか、ぼく今、頭が痛いんだ。すごく辛いんだよ。 だからもう少し眠らせておくれ。 『あいつが死んじゃってもいいのか?』 死ぬ……?いきなり何を物騒なことを言ってる。 だいたい、死ぬって、誰が。 気になって、頭に激痛を感じつつも目を開けた。 誰かに抱きしめられている。温かい。けど、香水臭い。 キースだ。あ、キース怪我してる。 あんまり怪我して欲しくないのに、誰がやったんだろう。 首を動かして、周りを確認してみる。 「……!」 あの、黒っぽい服の子供がいる。 十一年前にルークが死んだ時にもいた。というか、あいつが親玉だ。 そうか、あいつか、キースを怪我させたのは。 許さない。殺してやりたい。 霞みがかりつつも、ぼくの頭は沸々と怒りが込み上げる。 そうだ、守らなくちゃ。 このままだと、またぼくの大切な人が殺される。 それはいけない。動け。動け。動け!
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