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「おはようございます、キースさん。ご機嫌いかが」
正体はカリンだった。最新式の一人用乗り物・セグウェイのようなものを、高速で運転し、突っ込んできたらしい。
相変わらず、表情が能面のようだ。
しかしながら、今回はどこかすっきりしたような感じがする。
そんなに人の部屋のドアをぶち壊したのが楽しかったのだろうか。
キースは誤って飲み込んでしまったシガレットチョコのせいで、激しく咳き込みつつも、何とかそれらを認識した。
「お、お前ッ……こんな時間に……! つーか、ドアッ……ドアッ……!」
「時間になったんで迎えに来ました。もう三時間は寝たでしょ」
「ブラック企業か!」
「いいからさっさと降りてきてくださいコノヤロー」
「いててて。ひっぱんじゃねぇよ!」
せいぜい十五歳程度の少女ながら、その腕力は、ただひっぱられただけで肩が脱臼するのではと思うほどに強い。
正直、わし掴まれたのが髪ではなくて心底よかったと思った。さもないと握り拳一つ分は毟り取られていただろう。
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