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「じゃあ、どうすればいいのよ……」
ニルがめそめそ泣きながらも訊ねる。
「彼に謝ればいいの?追い詰めてごめんなさいって?きっと許してくれないわよぉ……」
「それくらいてめーで考えやがってほしいですね」
と、ここで感情のこもらない少女の声が割り込んだ。
意識不明だと思われていたと思われていたカリンが、いつの間にか起き上がっていた。
顔色は悪いが、動けはする様子だ。
「カリンさん、気付いたんですね。よかった……」
「あれ?お前喉やられたんじゃなかったっけ。何で喋れてんの?」
「てれれれってれーん」
某ネコ型ロボットでお馴染みの効果音を口頭で発し、自らの喉元を指し示す。
何か、チョーカーのようなものを付けている。
「こんな時のために作っといた発明品なんですけどね。重度の風邪とかで喉が潰れた時にこれ使うと声が出るんです」
「こんな時って、予想してたのかよ」
「いえいえ。カリンもまさか、喉裂かれる上に妹刺されるとは思ってなかったッスよ」
胡乱な目でニルを睨みつければ、びくりと震え上がる。
さっきまでは強気でいられたが、キースにやられたことを思うと身の危険を感じて、怖いのだ。
「ニルさん、ちょっと外に出てましょうか。私もご一緒しますから、ね?」
「いいっ……ひ、ひとりで……っ」
気を利かせようとしたパティだったが、彼女は足をもつれさせながら逃げるようにその場を去っていった。
ニルがいなくなっても、だれも追いかけなかった。
誰も興味を持たなかった。そうしてそのまま話は続く。
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