ルーク・ローレンス(前編)

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要約すると。 ラスカルは子供の頃に殺された一族の生き残りで。 ルークという自分と酷似した容姿の友人がいて。 救出に失敗し、ラスカルの前で殺されて。 残されたラスカルは、時間がやけに遅く感じる場所に閉じ込められて。 結果、現在の異様に若作りな人間になったと。 「そんな酷い話があるか!」 「カリンに言われても困ります」 号泣しながら叫んだら、冷静なツッコミを入れられた。 「大体このルークって奴、僕にそっくりじゃねぇか!」 「だからあんたをそばに置く事を許したって言いたいんですか?違いますよ、思い出してもみてください。あの人、めちゃめちゃ反対してたじゃないスか」 「う」 そういえばそうだった。 キースが工場メンバー入りを申し出た時、ラスカルは最後まで食い下がっていた。 それを工場レディースに諭され、とてつもなく不本意ながら了承したのだった。 「これは客観的な意見ですが……ラっさんは、あんたとルークさんを混同してなんていませんよ。あの人は自分の役目を果たすためだけに生きてますから、キースさんがルークさんの代わりだと思ってたらお役御免で自害するはずです。だからあんたを遠ざけたがってる。死んだら役目が果たせないから」 「……なるほど」 だからあんな風に取り乱したり、やけに意識されていたという訳か。 ――あいつは、僕に死んだ友達の面影を見てるんだ。 さて、どうしたものか……真相を知ったからには放っておけない。 今までの素っ気ない態度にも、きちんと理由があったのだから。 というか、放っておくには事が重大過ぎる案件だ。だが―― 「要は、優しくして慰めてやればいいんだろ」 消えない傷もあるだろうが、人は支え合ってこそ立ち上がるものだ。 そうだ、家族の一員にならないか提案してみよう。 ラスカルも相当特殊ではあるが、悪っぽい奴なんてキースの身内にもいる。 きっと溶け込めるはずだ。みんな幸せになって大団円。完璧だ。 そう言うと、カリンは目を瞬かせてキースを見つめた。 感心している目つきじゃあなかったのは何故だろう。
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