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要約すると。
ラスカルは子供の頃に殺された一族の生き残りで。
ルークという自分と酷似した容姿の友人がいて。
救出に失敗し、ラスカルの前で殺されて。
残されたラスカルは、時間がやけに遅く感じる場所に閉じ込められて。
結果、現在の異様に若作りな人間になったと。
「そんな酷い話があるか!」
「カリンに言われても困ります」
号泣しながら叫んだら、冷静なツッコミを入れられた。
「大体このルークって奴、僕にそっくりじゃねぇか!」
「だからあんたをそばに置く事を許したって言いたいんですか?違いますよ、思い出してもみてください。あの人、めちゃめちゃ反対してたじゃないスか」
「う」
そういえばそうだった。
キースが工場メンバー入りを申し出た時、ラスカルは最後まで食い下がっていた。
それを工場レディースに諭され、とてつもなく不本意ながら了承したのだった。
「これは客観的な意見ですが……ラっさんは、あんたとルークさんを混同してなんていませんよ。あの人は自分の役目を果たすためだけに生きてますから、キースさんがルークさんの代わりだと思ってたらお役御免で自害するはずです。だからあんたを遠ざけたがってる。死んだら役目が果たせないから」
「……なるほど」
だからあんな風に取り乱したり、やけに意識されていたという訳か。
――あいつは、僕に死んだ友達の面影を見てるんだ。
さて、どうしたものか……真相を知ったからには放っておけない。
今までの素っ気ない態度にも、きちんと理由があったのだから。
というか、放っておくには事が重大過ぎる案件だ。だが――
「要は、優しくして慰めてやればいいんだろ」
消えない傷もあるだろうが、人は支え合ってこそ立ち上がるものだ。
そうだ、家族の一員にならないか提案してみよう。
ラスカルも相当特殊ではあるが、悪っぽい奴なんてキースの身内にもいる。
きっと溶け込めるはずだ。みんな幸せになって大団円。完璧だ。
そう言うと、カリンは目を瞬かせてキースを見つめた。
感心している目つきじゃあなかったのは何故だろう。
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