冷徹王子は甘い恋をする。

14/31
216人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
「あと10分くらいでイルカのショーが始まるみたいだけど……って、大丈夫か?」 「えっ、っ……!!」 顔を上げると冬哉の顔。 そして、繋いでない方の手のひらを額に当てられ、びっくりして目を見開く。 「ボーッとしてるから熱でもあるのかと思ったけど……ないか」 「っ、あるわけないでしょ!」 心配してくれているのに、この言い方は可愛くない。そう分かっているけど急に触れられたことに驚いて。 「イルカ観に行こ!」 慌てたあたしが先に行こうとすると、「ふーん」と何か言いたげに口角を上げる冬哉。 そして、グイッと手を引き返すと、 「耳まで真っ赤にして、照れてんの?」 「っ!?」 耳元で囁くように言って、してやったりとばかりの顔で見る冬哉。 これはさっきの仕返しだって、説明されなくても分かる……けど、意外と子どもっぽい冬哉のそのイタズラな表情に、あたしはムッとしながら更に顔を赤くした。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!