君と僕

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君と僕

ピロン、 気付かずうちに寝ていた女はメールの着信音が無音な部屋に響き目を開けた。夜中、枕元にスマホをおいたのを薄っすら覚えており手探りで元凶を見つけた。メールが一件、宛先は知らない人だった。迷惑メールだといつものように削除しようと横にスライドした瞬間、意味不明な文面に女は顔を歪ませた。朝の6時42分、まだバイト先の出勤時刻まで余裕があるというのに朝からメールで起こされたと不機嫌になったが女はメールを無視し二度寝した 朝の優雅な時間というのは夢物語でしかない。社会人の平凡な市民は遅刻するかしないかの瀬戸際まで眠ることが多いではないだろうか。 ある程度の身なりを整え職場に向かうが朝の一分一秒は通常より早く感じてしまう。そう三枝蘭花も例外ではなかった。 ピピピッ いつものアラーム音。もう二度寝は許されない。パチッと勢いよく目を開け重たい身体を無理矢理起こす。時計に目を向けると7時40分 バイト先は家から自転車で約15分ぐらいで着く。8時30分からの出勤だからここを8時10分 に出なくてはならない。朝に一度の目を覚ましたからか目が徐々に下がってくる。その眠気さをとるためにも洗面所へと向かい洗顔をする。泡立てネットに固形石鹸を入れきめ細かい泡を作りくるくると泡で顔を洗う。何回か顔の往復をし、ぬるま湯で泡を落とす、ここまで10分 清潔なタオルで顔を抑えるように水分をとったら次は顔の保湿だ。本当に朝の女性というものはやるべきことが多すぎる。メイクも髪のヘアースタイルも服装も色々ありすぎて30分では足りない。だが蘭花はそれをやり遂げる。もう少し早く起きたらと友人たちにも言われるが是が非でも嫌なのだ。そうこうしているうちに8時10分になってしまったが、もう準備は整っていた。ああ、どうやら蘭花は行ってしまったようだ。いってらっしゃい。
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