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3話 取引終了後にメッセージが来たらだいたいロクなことじゃありません
学校での昼休憩中。
学食で友人と昼食を取っていると、スマホが振動し通知を知らせた。
画面を見るとフリマアプリからのメッセージ受信の通知だった。
俺が使っているフリマアプリは、取引が終わっても数日間はまだメッセージのやりとりができる仕様になっている。
...取引済みでまだメッセージのやりとりができる相手なんて一人しか心当たりがないけどな。
俺はそのままスマホを制服のポケットに仕舞った。
「どうした? なんかあったのか?」
「なんでもねぇ」
「そっか。にしてもこのクッキー美味えな」
「どうも」
昨日出品したクッキーの残りを友人が食している。
余り物で別にあげてもいいやつだから問題ない。
※
学校も終わり放課後。
さて帰るかと思い、校門をくぐろうとしたところ---
「やっほー涼くん!」
「げっ…」
校門前に石川がいた。
「顔がひきつってるよ? 何かあったの?」
「今まさにその何かがあったんだよ!」
自分の学校の前で他の学校の女子が待ってるなんて俺にとっちゃ軽く事件だ。
「何しに来た?」
「メッセージ送ったじゃん? お菓子のお礼したいって」
「見てない」
「ちゃんと見てよ〜」
拗ねたような様子で石川は頬を膨らませる。
そんな石川を置いて俺は一人で先へ歩き始める。
すると石川もついてきて隣に並んできた。
...どうやら逃してくれる気はなさそうだ。
「だいたい、お礼なんかいいっつったろ」
「だってあれが300円ってちょっと安すぎだよ? 全然つりあってないよ?」
「そ、そんなにか…?」
初めて出したから試しで300円にしてただけなんだが、まさかそんなに褒めてもらえるとは...だって気が向いた時にたまに作る奴のお菓子だぞ?
「一応聞くけどお礼って何だ?」
「えっとね、ご飯作ってあげる!」
ご飯。
その言葉に俺は強く心を揺さぶられた。
なぜなら俺は料理はできないから。
毎日毎日料理作るって俺みたいなめんどくさがり人間にとっちゃ難易度高すぎなんだよ…
その上、女子高生が作る手料理ときた。
正直石川は苦手なタイプだが...このチャンス逃したら2度とないかもしれない。
「そういうことなら...ありがたくいただこうかな」
「オッケー! じゃあ今から買い物行こ?」
「え? 俺も?」
「だってそのためにわざわざ迎えにきたんだもん。好きなの作ってあげるからさ〜」
なるほど、これ多分荷物持ちやらせる気で誘ったんだな。
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