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デート
デートっていうやつ…なのかな? 映画を見に来てるハズ…なんだが…。
(あとまだ1時間もあるのか…)
時間を完っ全に間違えた俺達は、2時間も早く来てしまった。 暇潰しにゲーセンに来たものの… 俺は景品が取れた試しが無い。
「ねぇねぇ! 次あれやって良い!?」
そう言う冬利のリュックには、ぬいぐるみやらお菓子やらが入っている。
「僕こういうの得意なんだよね♪」
今日1つ分かった事があるとするなら…
冬利は「可愛い」の定義がよく分からない。
ツギハギのぬいぐるみだの、涎を垂らしたウサギだの、俺からすればちょっと怖い感じのマスコット…。
それが冬利にとっては可愛いらしい。
「ねぇ!見て見て! 2つ一気に取れた! 1個あげる! お揃いにしよ?」
にっこり笑う冬利に対して断る事が出来るだろうか? 答えは否だ。 それに、これなら俺もカバンに付けられそうかな。
そんな事を考えつつ、ふと時計を見ると…
(………ん?)
夕方。俺達はクタクタになって帰路についていた。慌てて映画館に
飛び込んで、間に合ったは良いものの…
「いやー、楽しかったね!春馬ちゃん!」
「…………」
「ねーいつまで拗ねてんのー?
確かにホラーにしたのは悪かったけどさぁ… 可愛いイタズラじゃんかー… まぁあそこまで苦手とは思わなかったけど…」
そう、俺は昔からずっとお化けとかそういう類いの物は大の苦手だったのだ。
「よし、お前の家まで競争して、お前の方が早かったら許してやる!
よーいどん!」
本当は許すも何も何とも思って無かったから、少しゆっくり走った。
「ハァハァ… こ、んなに全力疾走したのっ、て…いつ振りだろ…ハァ…」
「バテ過ぎだろ…(笑)」
「疲れ過ぎて明日死ぬかも…
そしたら春馬ちゃんのせいね!」
「勘弁してくれ…」
「エヘヘ…」
息を切らしながら言った、
高校2年の秋。
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