旦那様とデート

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 悠真と最初の一夜を覚えていなかったせいなのか。この幸せなのに僅かに凝りのように残る不安のせいなのか、分からないけど。  取り敢えず的確とも言えるアドバイスをくれた涼には、デートが成功した事については報告した。詳しく聞きたいからと、土日明けの月曜日の就業後に会う約束をしている。学校の実習が大変だと言っていたけれど、大丈夫なのかな?  そんな事を思いながら、当日。  麗奈といつも通りに社食で日替わり定食を注文して、いつもの席で二人並んで食べる。悠真との遭遇率はあんまり高くない。彼もお偉いさん達との食事が多いみたい。 「ああ、貴女ですね。どこかで見た事がある顔だと思ったんです」  私の空いていた隣の席に定食が乗ったトレイが置かれる。頭上から掛かった声は、私よりもほんの少しだけ年上の落ち着いた女の人の声。  見上げると予想通り、二十代半ばを過ぎたばかりの女性が私を観察するようにジッと見ていた。紺色のスーツをキッチリ着ている。ボブカットの髪の彼女は、気の強そうな雰囲気を持っていた。黒縁の眼鏡をかけたバリバリのキャリアウーマン、そう表現するのがピッタリなような。
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