旦那様とデート

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 完全に手に持っていたお箸は止まっていた。疑問じゃなくて、彼女はバッチリ見て、確信を持って言っている。 「ちょ……、どういう事?美咲って専務と接点あったの?」  麗奈が驚いたように私の肩を掴む。私は何と言っていいか分からずに、黙り込むしかなかった。 「円城さん、伊ヶ崎専務のことがお好きなんですか?大変申し上げにくいのですが、秘書課なので専務と接点は多いんですけど、あんまりオススメ出来ません」  私の反応に介することなく、眞木さんは定食を行儀良く食べ始める。彼女の言葉に食い付いたのは、麗奈だった。 「なんでオススメ出来ないの?秘書課の人が狙っているから?」 ちょ、麗奈、相手は年上……! ギョッとしたけど、眞木さんはそんなに気にした風もなく首を横に振った。 「いいえ。秘書課でも玉の輿を狙っているがめつい子は普通にいるけれど、だから円城さんにこんな事を言いに来たわけではありません。好きになったらきっと苦労するのが目に見えているからです」 「どうして?」  訳が分からないと、麗奈は眉を寄せた。眞木さんは私をチラと見て、ハッキリと告げた。
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