旦那様とデート

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 悠真が高校から父親に引き取られたというのは、あまり有名ではないらしい。その事を知っているからこそ、私は悠真の擁護に回れるけど、彼の事をよく知らない人にとっては私が弄ばれて捨てられそうに見えるのかあ……。 「なるほど……。人がいいんですね。だからこそ弄びやすいのかもしれません。専務は色々な所の企業の社長から目を付けられているようですし、あわよくば縁続きになりたいって人は一定数います。今の時代、そんな事をやっているなんて信じられます?」 「利益の為に親戚になるってこと?」 「そうです。政略結婚って言うそうですね。お見合いなんて形だけだそうですよ。それが普通に行われている世界です」 「とても古典的だわ。信じられないわね」  眞木さんの話に麗奈は肩を竦める。政略結婚の当事者としては、黙っているしかなかった。そんな私に眞木さんは言い含める。 「気を付けて下さい。専務との未来なんて考えない方が良いかと」  いつの間にかサクッとご飯を食べ終えていた眞木さんは立ち上がる。私と麗奈の箸は全く進んでいなかった。 「それでは、お先に失礼します。忠告は致しましたので」  アッサリと去っていく眞木さんの中で、悠真がかなり悪人になっている気がする……。フォローを入れておきたかったけど、私と悠真の関係性からして夫婦と勝手に言っていいのか悩むところ。  そして……、難題が一つ。 「前に専務と社食で一緒になった時から、違和感を感じてたのよね。ちょっと美咲、いつの間に専務なんて捕まえてたのよ?」  隣に座ってニッコリ微笑む麗奈にどう説明するか、なのよね。
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