旦那様とデート

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「ご婚約おめでとうございます。お相手はどちらのご令嬢ですか?」 「資産家のご令嬢だよ」 「……そうなんですね」  妙に歯切れの悪い納得の仕方をした眞木だったが、「専務。今日の予定です」と切り出した。 「この後のスケジュールですが、《伊ヶ崎》のグループ会社の一つである伊ヶ崎メディカル株式会社の社長がお見えになられます」 「ありがとう」  切り替えて、事前に用意されている資料を再確認する。あらかじめ頭の中におおよそは入れているので、特に問題はなかった。  ――この時までは。 「……専務。私に私生活について口出す権利はありませんが、女性関係に関しては最悪会社のイメージダウンに繋がるので、お気を付け下さい」 「うん?分かってるよ」  いきなり仕事の話から飛びすぎて、一瞬理解が追いつかないまま頷く。俺の思考をカオスにした張本人は、「それではお先にお昼行ってきます」と真顔のまま退出していった。  ……父親の二の舞にならないようにっていう忠告か?
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