旦那様と、波乱?

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「俺は高校から好きだったけどね」 「だよね。薄々感じてたわ。美咲が涼と仲良くしてて面白くなさそうにしてたし」 「そんなに分かりやすかった?」  俺の予想に反して、莉佳子は分かりやすくはなかったかも、と答える。  その時ウェイターがやって来て、俺達の前にソーサーに乗った珈琲を置いて行く。角砂糖をスプーンに乗せながら、莉佳子は口を開いた。 「ただ、結構一緒にいるから、最初はちょっとした違和感だったわね。『美咲って結構モテるよね?彼氏とか作らないのかな』っていう貴方がポロッと零した疑問で、何となく確信したって感じよ」 「ああ。円城家が政略結婚が当たり前の一族だって教えてくれた時の事だね」 「そうそう」  角砂糖を専用の小さなトングでスプーンに乗せ、一つ一つ溶かしていく。それが五回繰り返された所で流石に「砂糖入れすぎじゃない?」と注意した。「そう?」となんでもないような事のように首を傾げた莉佳子は、一緒に運ばれてきたミルクを注ぐ。  とんでもない糖分になってそうだ……、と半ば戦慄しながらミルクのみ入れた珈琲を一口飲む。感覚的にいつもより甘くなってしまっているような、そんな気がした。
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