旦那様とやり直し

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 まだ私の左手の薬指には何もない。でも、きっと近いうちにそこには二人で選んで、悠真にプレゼントされた指輪が煌めいているのだろう。  その光景を想像して、胸が弾んだ。  堂々と悠真の隣に立てる。このままも彼の妻でいられる。その事がとても嬉しい。諦め掛けてた事だったから尚更。  そっと腰に手を回されて抱き寄せられる。悠真の広い胸に大人しく顔を埋めると、抱き締める力が強くなった。 「ちゃんと不安があったら話して欲しい。俺達は夫婦だからね。運命共同体だ。そうだろう?」 「……うん」  殊勝な顔で頷いた私の背中をポンと軽く宥めるように叩いて、悠真は腕を緩めた。そして、私の両頬をムニッと摘んだ。 「にゃにしゅるの」  呂律の回らない口調で反抗すると、悠真は息を吐くように、ふは、と笑った。 「さて、俺はね。少し怒っているし、自分に対して情けない気持ちになってるんだよ」 「え……?!」  悠真の切れ長の瞳がクシャリと細められる。目じりの所に皺ができた。でも、少年のような瞳の輝きではなく、どこか野性味のあるような、そんな怪しい色を宿している。  ムニムニと私の頬を弄ぶ彼は、何か企んでいるように唇をつり上げた。 「俺の事をもっと信用して貰わないといけないなあ、って」  そっと頬から手を離して、私の耳元に唇を寄せる。何が起こるか予測出来なくて突っ立っていた私に、言い含めるように彼は宣言した。 「初めての夜の再現、しよっか」
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