旦那様とやり直し

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「貴女が円城美咲さん?」  中心にいたドレス姿の少女が挑戦的に一歩足を踏み出す。どこかで見た事があるような既視感に襲われて、ハッと思い出した。先程会った取引先の重役の妻によく似ている。 「いえ、伊ヶ崎美咲です」  もう結婚しているので正直に答えると、少女にとっては気に入らない答えだったみたいで顔を赤くした。反面、私は相手が年下という事もあり、ますます冷静になる。 「婚約者でしょう?!まだ!!軽々しく名乗ったらいけないわ!!」 「いいえ。妻です」  左手の薬指を見せる。そこには前に二人で注文したエタニティリングが煌めいていた。今でも毎日夢のようで、うっとりと見とれてしまう。悠真も常に付けていて、私達本当に夫婦なんだなあと最近妙に実感が湧いてきたのだ。  尚も言い募ろうとする少女に、そろそろ「夫が待ってるので」と言ってさっさと要件を聞いて、解放してもらおうかと思ってきた時、前に一度聞いた声がその場を制した。 「そこまでですよ」
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