旦那様と離婚の条件

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「幸せそうに食べるなあ」 「だって好きなんだもの。ここのフレンチ、デセールだけじゃなくてヴィアンドのお肉も美味しかったし、また来たいわ」 「気に入ってもらえて何より。また来よう」 「ええ」  その後は、出された紅茶と珈琲を飲みながら、お互いの仕事の話や最近仕入れてきた興味のある事について話して――、  盛り上がった気持ちのままホテルに行くことなく、港区にある自宅のタワーマンションに二人揃って大人しく帰宅した。 「な……、なんでなの。いや、運転手いるし、明日もお互い仕事だし、帰って来た方がいいんだけど」  お風呂上がり、洗面所で私は思わず項垂れた。鏡に茶髪のスッピン女が映っている。  日頃からスキンケアを欠かしていない肌は白く、鍛えた身体は適度に絞られており、丁寧に手入れしている髪の毛はサラサラだった。  今年二十三歳にしては、いささか童顔気味。身長もやや平均より低いのも手伝って、下手すれば未だに大学生なりたてに見られる事もある。
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