旦那様と離婚の条件

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「おいで」  勧められるがままにソファーの隣りに腰を下ろす。そのまま近くのコンセントに繋いで、髪の毛を乾かそうと思ったけれど、悠真が私の手からドライヤーを奪った。 「あ、ちょ」 「俺が乾かしてあげるよ」  ソファーの後ろに回り込み、私の背後に悠真は立つ。ドライヤーのスイッチが入ると、暖かい風と共に悠真の大きな手が私の髪の毛に触れた。  なんか今日は、やけに距離が近い。顔がのぼせたように熱くなった。きっとドライヤーの熱のせいだけじゃない。  でも頭を軽く撫でるようにして、髪の毛を乾かしていくその手が心地好くて、大人しくされるがままになっていた。  優しい手つきに夢中になっていたようで、ドライヤーの音が止んで気付く。いつの間にか髪の毛は乾かし終わっていたらしい。あっという間だった。私の髪の毛は量も長さもかなりあるはずなのに。  テレビ番組なんて、全く頭の中に入ってこなかった。 「ふふ、耳が赤くなってるよ」  耳の外側を人差し指で軽くなぞられる。擽ったくて肩を竦めながら、私は抗議のために上を向いた。 「ちょっと……」 「ねえ、分かってる?美咲」  上を向いたまま悠真に顎を軽く掴まれる。私の上に覆い被さるようにして目線を合わせた彼は、恐ろしく真剣な顔で告げた。 「離婚のタイムリミット、もう三ヶ月しかないんだよ」
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