旦那様と離婚の条件

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『家の方針だ……。家の方針で俺は君と結婚するだけであって、君は君の自由にすればいい。  ――この結婚は条件が揃えば、解消出来るからね』 『……分かった。自由にさせてもらうわ』  政略結婚でも婚約者との恋愛関係を地道に築いてから結婚じゃなくて、結婚してから旦那様を好きになってしまった場合って、どうすればいいの?  そして、悠真の言っていた伊ヶ崎の会社創立百五十周年のパーティー。私を連れて行くという事は結婚発表、あるいは婚約発表に似た事をするつもりなのだろう。  悠真は本当にこのまま私と結婚を続けていていいの?  私は悠真の為に離婚を目指していたのに……。  友達以上恋人未満とはよく聞くけれど、夫婦なのに家族以上恋人未満の関係は、意外と近すぎて遠い。  上流階級の政略結婚なんかに、悠真を巻き込んでいい訳がない。本当ならば政略結婚なんてしなくてもよかった人なんだ。  ……でも、悠真が良いのならば、私はずっと悠真の妻でいたい。彼の妻という立場に、五年間もの間ずっと胡座をかいていたのも理由の一つだ。私の方から彼を振るなんて、出来なかった。
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