旦那様と離婚の条件

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 ――高校時代から、進捗がない。  勿論、渡米中も頻繁に日本に帰ってきている。  結婚記念日や美咲の誕生日だって、欠かさずに帰ってきた。授業を上手く調節したり、どうにもならない時は教授に頼み込んだりなんかもしていた。  一ヶ月もいい歳した大人の男女が同じ屋根の下――ただし、家が広すぎる――にいて、何か起こらない方がおかしいのだが、これが何も起こらない。  いや、起こさないと言った方が正しいか。  一応自分の妻なのだが、彼女の事を思えば何も起こさない方がいい。  美咲を政略結婚から解放する為に、彼女の人生のパートナー位は自分で決められる自由を。  彼女から結婚したい人が出来たと言われる事をずっと覚悟していた。  だが、全くそんな話が出ないまま――五年が経った。  このままいくと、三ヶ月後の伊ヶ崎の会社創立百五十周年のパーティーで、俺と美咲の結婚が発表される。書類だけではなく、公に発表されれば美咲は容易に俺と離婚出来なくなる。  三ヶ月経てば、美咲は俺から逃げられない。  でも、周囲から囲い込んで逃げられないようにはしたくない。
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