旦那様と高校時代の友人

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旦那様と高校時代の友人

 資産家円城家は、旧華族の嫡流の一族だ。  先祖代々受け継がれる広大な土地や建物、それを賃貸する事によって毎月一定額入ってくる。特に働かなくても贅沢な暮らしは出来るのだ。それに加え、中小規模で商社も幾つか持っている。  ただ我が円城家の資産は嫡男が全て引き継ぐシステム。これまた時代遅れの方式をとっているので、土地や建物等の資産は全て私の年の離れた弟が継ぐことになる。だから、この時代になっても資産家として名前が残せるのだろう。  円城家の女が政略結婚をするのは、このシステムのせい。  私は勿論遺産としての現金は貰えるけど、一定額安定した収入が見込める訳では無い。親は娘の生活水準を落とさないように、優秀などこぞの御曹司を見繕ってくる。  自分達の利で決める政略結婚でない所が、厄介なんだ。  私と悠真はお互い友人関係だったから、選ばれたのだろうと推測している。  私がお嬢様だったのに、こうして働いているのは離婚後のため。《伊ヶ崎》に就職するとは思ってなかったけど――、実家の脛を齧る訳にはいかない。  《伊ヶ崎》に就職したのは、コネだ。  実家とツテをめちゃくちゃ使っちゃったけど、離婚後に実家の脛を齧っちゃだめだ。  だって、実の両親と義理の両親の妨害で、就活めちゃくちゃ難航したんだもの……!!  悠真の説得のお陰で就職出来たようなものだったりする。  ―――――――――――――――  ――――――――――  私の夫は今日も絶好調にイケメンらしい。
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