旦那様と高校時代の友人

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 ストレートな黒髪を一つに結び、華美になりすぎない程度のメイクを施した麗奈は誰もが振り返る美人。猫目がちの瞳は大きく、まつ毛だって長い。  悠真と並んでも見劣りしない同僚……、と思った所で、うっかり二人が並んでいる姿を想像してしまって、ほんの少しだけ気分が沈む。  ある程度悠真を見て満足したらしい麗奈は、再び食事を再開した。トップコートのみを塗っている指先だって、彼女は綺麗だ。  思わず自分の持っているお箸に目を落とす。トップコートを塗っている爪はつるつるでも、指は短め。一応細くはあるけど、子供のような手をしている。  ……大人の色気って、どうやって出すんだろう。どうやったら悠真って恋に落ちるんだろう。  ……いや、そもそも悠真って恋愛するの?  前途多難な難題に途方に暮れそうになった時、今まで空席だった私の隣に、定食が乗ったお盆が置かれた。  麗奈と一緒にその人を見上げて固まる。 「隣、いいかな?」  くしゃりと目尻に少しシワが出来る見覚えのある笑み。一見、冷たそうに見える彼がそこに立っていた。
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