旦那様と高校時代の友人

9/20
前へ
/154ページ
次へ
 いっそ、麗奈に全部ぶちまけて協力を仰ぎたい所なのだけれど、職場の人にバレてはいけないのが私の労働条件の一つ。  もう一つは子供が出来たら、仕事を辞める事。悠真の説得で、この二つを守る事と引き換えに就職出来た。  ……資産家円城家の一部には有名な肩書きを思わず呪ってしまいそう。 「そういえば美咲、専務と中々良い雰囲気だったわね」 「い、良い雰囲気?!」  完全に不意打ちを食らって声が裏返る。麗奈は奇妙なものを見る目で「なんでそんなに焦ってるのよ」と私に言った。 「い、いや、驚いたのよ……。普通に」 「ふうん?」  そんなこんなで上機嫌な麗奈と会社前で別れ、通知ランプが点滅しているスマートフォンをチェックする。 「あ……、涼からだ」  高校時代、仲良くしていた男子の一人からの久しぶりのメッセージに、思わず声が出た。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2078人が本棚に入れています
本棚に追加