旦那様と高校時代の友人

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「専務として頑張ってるよ。やっぱり優秀だって噂になってるんだって、同僚が話してた」  ウェイターにロイヤルミルクティーを注文しながら、涼の問いに返事を返す。涼は行儀悪く、テーブルに肘をつきながらブラック珈琲を飲んでいた。 「アイツもすげえよな。海外四年も行って勉強してさー。誰も文句言えない位、伊ヶ崎の次期社長としての基盤を築くって宣言してアメリカ行ったもんなあ」 「……うん。びっくりした」  悠真は誰もが知る有名大学に進学した。希望するビジネススクールに行くには、数年実務経験が必要らしいので、専務という肩書きに収まっているが、将来的にはMBA――経営学修士を目指すのだそう。  経営学修士は専門職学位でしかない。でも、肩書きは非常に大きい。  そして、悠真は幅広い人脈作りの為にもMBA取得を目指している。それを見越しての四年間の大学。三日に一回は国際電話をしていたけれど、きっと向こうでの生活は大変だったはず。 「由弦(ゆづる)も大学院に行ってるし、たぶん帆乃香(ほのか)の事が落ち着いたら、弁護士目指すんじゃないかなあ」
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