旦那様と高校時代の友人

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 ウェイターが離れたのを見計らって、首を横に振った。私自身が政略結婚にこだわっている訳じゃない。円城家が、こだわっているのだ。 「ふぅん?結婚もせず、彼氏も作らずだから、てっきり政略結婚するつもりかと思った」 「まあ、そうね。昔から政略結婚するって言っていたものね」 「そうそう。俺さあ、最初聞いた時今でも政略結婚なんてやってんだ、って思ってたけど、意外とやってるんだなあって今になって分かったんだよね」  ふっと遠い目でしみじみと言った涼。その感覚は私も同じ。 「今時政略結婚なんて、時代錯誤って感じだものね」  当の私はもう既に政略結婚をしているのだけれど、と内心付け加える。 「まあ、変な男に引っかかるよりはいいんじゃねえの?」 「確かに」  悠真は変な男にではない……はず。だって、誠実な人だし。 「まあ。美咲が政略結婚にこだわっていないのなら丁度よかった」 「何が?」  安堵の表情の涼は、今日も無駄な色気を振り撒いている。私は彼の言葉の意味が分からなくて、首を傾げた。 「美咲、俺と結婚しない?」
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