旦那様と一夜

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 私が頷くと、彼が一瞬息を詰めたのを感じる。大きな手が私の後頭部から頬へと滑り、顎にかかった。上を向かせられる。  彼のダークブラウンの瞳が、今まで見たことの無い色を孕んでいた。その瞳に魅入られる前に、顔が近付いてきて唇が塞がれる。私は反射的にギュッと目を閉じた。  キスされている、と鈍足な脳がようやく認識した頃には、下唇を食むようなものに変わっていた。どうすればいいか分からなくて、ほんの少しだけ口を開く。  まるでそれを待ち構えていたかのように、彼の舌が私の舌に絡んで吸われる。  身体から力が抜けた。悠真は一旦唇を離して、私の腰に手を回す。グッと身体を持ち上げられて、横抱きにされる。リビングから近い悠真の部屋の中へと連れ込まれた。  一人分には大きすぎるキングサイズのベッドにそっと乗せられる。ぼんやりと仰向けで天井を眺めていると、悠真が私の上にのしかかってきた。  腰の辺りで馬乗りになられて、ガッチリと逃げ場を無くされる。 「ふふ。酔いが回ってる?更に赤くなってる」  そう言った彼の頬もほんのりと色付いていて、私は可愛いなと夢うつつの中で手を伸ばす。その前に悠真の手が私の手を捕まえて、指先が絡んだ。  逆に頬にキスを落とされて、擽ったくて身をよじる。耳に移った唇に甘噛みされながら、囁かれた。 「出来るだけ優しくするけど、我慢してたから……  ――理性飛ばしたら、ごめんね?」
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